一般的にサーボモータのアクチュエータには,関節角度を制御するための角度センサや関節トルクを制御するための電流センサが備わっています.本研究では,このような本来はアクチュエータの制御に用いるためのセンサを環境変化の検知にも用いる方法を追求しています.アクチュエータによる環境認識を実現するためには必ず機械的な接触が必要になりますが,カメラやレーザセンサなどの外界センサを使わずに内界センサだけで環境認識できる利点があります.これまで以下のようなロボットに本手法を取り入れました.
自動T字管走行
以下のような連結車輪型配管内検査ロボットの場合,滑らず前進するためには車輪を常に配管に接触させて,十分な力で押し付け続ける必要があります.これを実現するため,本研究ではポリウレタン式の直列弾性アクチュエータによって関節トルクが制御されています.しかし,T字管などでは関節トルクから関節角度制御に切り替えてロボットの身体を強制的に曲げる必要があります.しかし,人間がカメラを見ながら上手く制御対象を切り替えるのは大変で,訓練が必要になります.一方,このアクチュエータには制御のために角度センサ(ポテンショメータ)が2つ内蔵されています.そこで,ロボットがT字管に入ったときの角度センサを値の変化を利用して,制御対象を自動的に切り替える方法を提案しました.
※本成果は,立命館大学生物知能機械学研究室との共同研究の結果,生まれたものです.
関連文献
- Atsushi Kakogawa, Kenya Murata, and Shugen Ma, Automatic T-branch Travel of an Articulated Wheeled In-pipe Inspection Robot Using Joint Angle Response to Environmental Changes, IEEE Transactions on Industrial Electronics, Vo. 70, Iss. 7, pp. 7041-7050, 2023
- 村田憲哉,加古川篤,馬書根,1自由度能動関節のみを用いた連結車輪型管内移動ロボットのT字管走行 ―第2 報:角度センサの配置による関節角度およびトルクの計測性能の比較―,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2022,2P1-M09,2022
- Atsushi Kakogawa, Yutaro Kushitani, and Shugen Ma, Automatic T-branch Travel of a Multi-link In-pipe Inspection Robot based on Joint Torque Value, 5th International Symposium on Swarm Behavior and Bio-Inspired Robotics (SWARM 2022), 2022
接触グリッパ
Coming Soon.
※本成果は,立命館大学グローバルイノベーション研究機構の川村貞夫特別招聘研究教授との共同研究の結果,生まれたものです.本研究の一部は,内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2 期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤」(管理法人:NEDO)によって実施されました.
関連文献
- 松野 晃治,加古川 篤,川村 貞夫,低摩擦ギアード電動モータを用いた二指グリッパによる高速把持,第39回日本ロボット学会学術講演会(RSJ 2021),1G4-05,2021
- 松野 晃治,森 佳樹,加古川 篤,川村 貞夫,環境接触の積極的利用によるセンサレス二指グリッパの物体高速把持,第22回計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会(SI2021),2021