起き上がり小法師型タンク床板検査ロボット「Tumbler-1」

現在の石油タンクの床板の検査には開放検査と呼ばれる手法が用いられています.この検査では,石油を全て排出した後に人間が直接タンク内に入って作業するため,多額の費用がかかる上,検査期間中に石油タンクが使用不可になります.本研究では,石油を排出することなく,浮き屋根に備わった空気孔から内部に侵入し,人に代わってタンクの底部板厚検査を行うロボットを提案しています.初めから石油タンク内で試験することは費用や安全性の観点で非現実的なので,まず水中で実験を行っています.

これまで,世界中で数多くのタンク内検査ロボットが開発されていますが,大型のため浮き屋根に大口径の侵入口が必要となります.しかし,本研究で想定する日本の石油タンクの浮き屋根には内径約 150mm の空気孔しかありません.入口が狭いにもかかわらず,ロボットには板厚測定装置や移動のための駆動系部品,自己位置推定のための装置など多くの要素が必要となります.そこで我々は,これらを全て細長い体に収めて空気孔から侵入可能なロボット「Tumbler-1」を提案しました.

肉厚測定には指向性を持つ超音波センサを使用するため,トランスデューサ(探触子)の面を常に床板表面に対して平行に密着させる必要があります(下の写真の右上部に付いたものが探触子です).つまり,細長い機体であれば,床に対して常に垂直に近い姿勢をとり続けて,ロボット下部を床板表面に当て続ける必要があります.これら 2 つの条件から,重心を可能な限り下部に,浮心を可能な限り上部に配置した起き上がり小法師型に設計をしました.これにより,細長い形状でありながら機体を床に対して倒立振子のように機構的に直立させ続けることが可能です.

※本成果は,白山工業株式会社極限環境ロボット研究所との共同研究の結果,生まれたものです.

関連文献

  1. 横山拓人,加古川篤,広瀬茂男,起き上がり小法師型石油タンク床板肉厚測定検査ロボット“Tumbler-1”の開発 ー基本設計と液中移動時の姿勢変化シミュレーションー,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会,2024
  2. 液体タンクの床板検査用ロボット(特願2024-084947)
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