関節のバックドライバビリティを利用した多軸配管内検査ロボット

配管内走行ロボットは曲管の走行方法に着目して,以下の2 つの形態に分類できます.

1.関節を回転自在にして経路に合わせて受動的に形状変化させながら走行する形態

この形態のロボットは,アクチュエータ数の削減により機構を単純化できる利点がありますが,T字管などの分岐路において経路を選択できません.つまり,一筆書きで描ける配管経路しか通過できません.

2.操作者の指令によって関節を能動回転させながら経路に沿って走行する形態

この形態のロボットは,分岐路で経路選択できますが,予め既知の経路に沿って関節角度軌道を巧みに制御する必要があります.一般的に,能動可動部が多い2のロボットの方が曲管や分岐管を安全かつ効率的に走行するためには有効であると考えれます.本研究においても当初はこの手法を用いていました.

しかし,事前に経路情報が必要になり,そのせいで制御システムが複雑化する傾向にあります.関節数が増えるとなおさらです.そこで本研究では,関節を能動回転可能にしたまま,外力を受けるとバックドライブする構造を取り入れて,曲管やT字管走行中に一部の関節を意図的に脱力させる方法を提案しました.この方法により,先頭のみを曲がりたい方向に向ければ,後のユニットは配管回路に沿って受動的に適応しながら走行できることが明らかとなりました.

※本成果は,立命館大学生物知能機械学研究室との共同研究の結果,生まれたものです.

関連文献

  1. 小林勇輝,加古川篤,馬書根,8インチ中圧ガス管内検査ロボットの開発とその実用化に向けて,第40回日本ロボット学会学術講演会,3G1-07,2022
  2. Fumiya Sera, Atsushi Kakogawa, and Shugen Ma, Joint Angle Control of an 8-inch Gas Pipeline Inspection Robot to Pass through Bends, Proceedings of the 2019 International Conference on Advanced Mechatronic Systems, pp. 28-33, 2019
  3. 世良文哉,加古川篤,馬書根,8 インチガス管内検査ロボットの曲管走行のための関節角度制御,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2019,2P1-B13,2019
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