ポータブル自動月面岩石分析装置「PALSAC」

有人・無人による人類の月面活動が拡大し続ける中,月面の各地域において,さまざまな地質調査やサンプルリターンミッションが提案されています.制約の多い条件内で科学的成果を最大限に引き出しつつ,月の探査と開発を推進するためには,月面の巨礫やレゴリスを対象とした,コンパクトで軽量な現地地質分析装置が不可欠です.これらの装置により,迅速かつ柔軟な地質調査が可能になるだけでなく,優先度が高く質の高いサンプルを即座に選定することができます.これらは,月の起源の解明や資源開発に大きく寄与すると考えられます.

しかしながら,アポロ計画のサンプルや月隕石のこれまでの分析結果から,それらは月面での長期滞留中に破砕作用や宇宙風化による変質を受けたことが示唆されています.その結果,本来の結晶化年代がリセットされている可能性があり,一次結晶化情報が保持されているかどうかを判断することが困難となっています.

そこで私たちは,月面での地質調査および回収試料の選定を目的として,「ポータブル自動月面岩石分析装置(PALSAC)」の開発に着手しました.本装置の主な特徴は,液体冷却剤を使用しない乾式粉砕ツールによる連続分析機能と,可視光~近赤外(Vis-NIR)スペクトル範囲をカバーする顕微ハイパーイメージャーを備えている点にあります.

※ハイパーイメージャー:光を非常に細かく分光し、人間の目では見えない物性の違いや特徴を、空間情報(画像)と分光情報(スペクトル)の両面から取得できる高度な映像技術

※本成果は,立命館宇宙地球探査研究センターの仲内悠祐准教授との共同研究の結果生まれました.

関連文献

  1. Ryutaro Fukunaga, Yusuke Nakauchi, and Atsushi Kakogawa, Development of a Portable Automatic Lunar Stone Analyze Cube: PALSAC, 57th Lunar and Planetary Science Conference (LPSC 2026), 2026, https://www.hou.usra.edu/meetings/lpsc2026/pdf/1834.pdf
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